猛琉・ホラント = リンク(Takeru・Horand = Rink)

「おまえが頑張ってることは誰より知ってるよ」

イケメン-Data:猛琉(たける)

年齢:36

身長:185cm

職業:サーカスの団長(反体制組織ラムザチェト・ストアの戦闘員)

メモ:孤児を拾って育てている。夢は地域紛争の終結。

イケメンショートストーリー

猛琉さんのアイス・クリーム

私たちのサーカス団は大型トレーラーで移動し、住まいも車内を区切った空間で暮らしている。団長の猛琉たけるさんの居室は一号車で、他の居住トレーラーとは違って事務所や会議室などオフィシャルな空間と一緒だった。だから、ただの団員ではほとんど入ることができない。

そんな団長室に入れるのは恋人である私の特権。みんなが久々の外食に出かけた空きに、ひとりになりたくて忍びこんだ。

ベッドの端に腰かけてボロボロと泣く。
今日も肝心なところで失敗してしまった。あんなに頑張って練習したのに、本番になると緊張して体が動かない。サーカス団として地域を移動するので、その土地の言語も習得しなくちゃいけないのに勉強も得意ではなかった。

(どうしていつまでもダメダメなんだろう……)

うっぐうっぐと泣いていたら、急に後ろからほっぺたに冷たいプラスチックを押しつけられた。

「わっ、冷めたっ!」

びっくりして振り返ると、猛琉さんがアイス・クリームのカップを差しだしている。それを頬にくっつけられたようだ。

「……アイス・クリーム?」

「ほら、好きだろう? おまえが頑張ってることは誰より知ってるよ」

カップを受け取って、その冷たい甘味を涙ながらに口に含んだ。ひんやりとして甘くて心を慰めてくれるような味に、もっと泣けてきてポロポロと涙が流れていった。

それでもクリームを懸命に食べていたら、猛琉さんが涙を拭うようにまぶたにキスをしてきた。その唇はとても情熱的で、腰に回された彼の腕にも男性フェロモンが漂っていて――

「まって、猛琉さん、クリームが溶けちゃうよ」

慌てて口に放りこんだクリームを猛琉さんは咬みつくように舌を絡めて味わってくる。クリームの甘さと彼の吐息の甘さが重なって、脳神経がビリビリと痺れた。

いつの間にかカップも取られて、彼の腕の中でアイス・クリームより甘い官能にすべてが溶かされていった――

(文字数:約765文字)

--Fin.


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