【本レビュー】「科学にすがるな！」｜物理学者による宇宙と死の特別授業で生きる意味を哲学する

書籍の概要

出版業の女性編集者が「科学者が死をどう考えるのか知りたい」という思いで宇宙物理学者の佐藤文隆先生に質問しました。しかし「物理学で死の意味は問えない」と期待した答えよりも素っ気ない内容の回答でした。それでも彼女は食い下がり、対面やメールでの一年間のやり取りがはじまります。

主に宇宙論がメインの議論になるのですが、「死とは何かを宇宙に求めるな」というその意味が最後に理解できたとき、生きる大切さが大きく染み込んでくるような感動に包まれました。

いま、生きる意味に悩んでいる方にぜひおススメしたい一冊です。

このような方におススメ

「科学にすがるな！」の感想

宇宙と人間の意味を深く考えさせられる

生きる意味や死ぬ意味を物理学者に問いていくという内容ですが、宇宙の始まりや素粒子、物理法則などの基本を復習しつつ、人間とは何だろうと考えさせられます。

素人の質問者が読者のレベルと同等で基本的なことを質問していたので理解しやすかったです。

もし生きる意味を物質的に知りたいときには、この一冊が十分な答えを示してくれるでしょう。まだまだ未解明な宇宙なのですが、「つかめない」というところから生きる意味が提示されていて深く納得がいきました。

死とは何か宇宙的にもやもやしていたら素晴らしく晴れることができます。とても有意義な一冊としておススメしたいです。

スポットライト1ライン

本の中でキラリと光る1文を紹介するスポットライト1ラインというコーナーです。読書をした本の中で自分の感覚が刺激された1文を紹介しています。

「科学にすがるな！」のスポットライト1ラインは…

死は生きた結果である
生をじゅうぶんに生き、その結果の死であるなら、
それもよしと思えるようになりたい

（艸場よしみ）

死を感じて恐怖していた女性編集者の艸場さんの最後に理解した心の移り変わりがよく分かる一文です。

もし身近に死を感じて不安になったら、その答えをこの本で見つけることができると思います。

まとめ

壮大な宇宙から見つめる人間の生きる意味

この本の中で、「量子力学の不思議さは、理論の欠陥ではなく人間の欠陥だろうと、ぼくは考えている。人間は自然を素直に見るようにはできていないんです」と宇宙物理学者の佐藤先生は話します。量子物理学に興味はあるけれど難しそうと敬遠していた方にも、基礎が分かりやすく述べられているのでおススメです。そして、「人間の欠陥」としてつながる深く哲学的な内容にページをめくる手が止まりませんでした。

佐藤先生の宇宙物理を極めたその答えは、あまりにも人間に優しいものでした。ぜひ、宇宙と死についての特別授業で生きる意味を味わってください。

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